消火器は火災が起こったときの初期消火に、なくてはならないものです。
現在では、なんと1日に120件以上の住宅火災が発生していると言われています。
住宅で起こる火災原因の多くはコンロからの出火とたばこの不始末によるものです。
火災が起こると誰でも慌ててしまいます。
しかし、住宅火災の多くは、天井に炎が届いていない状態であれば消火器で初期消火することができるのです。
いざというときに活躍する消火器。
あなたは消火器の処分や破棄するタイミングをご存じでしょうか?
古い消火器は、火を消すどころか破裂してけがをする恐れもあるのです。
そこでこの記事では、消火器の処分方法と廃棄するタイミングについてご紹介します。
消火器のリサイクルについてもぜひ知ってください。
この記事を読むことで消火器を正しく安全に処分することができます。
消火器の処分に困っている方はチェックしてみてくださいね。
消火器の処分について知っておきたいこと
消火器は、自治体のごみ回収では回収してもらえません。
消火器はどのように処分するのが正しいのでしょうか?
この項では消火器のリサイクル・処分について詳しくご紹介します。
消火器のリサイクルについて
消火器は、平成17年(2005年)に総務省消防庁が公開した『消火器・防災物品リサイクルの推進について』という報告書に基づいてリサイクル・リユースすることが義務付けられています。
廃消火器の再資源化率は90%以上です。
本体容器にかんしては100%再資源化されます。
粉末消化薬剤や消火器の蓋・投入管一式も再資源化されているのです。
消火器リサイクルの目的
使えなくなった消火器・処分対象の消火器を「廃消火器」と言います。
廃消火器をリサイクルする目的は、「家電リサイクル法」や「小型家電リサイクル法」などと同じく、限られた有効資源を再利用し、「環境への負荷を軽減すること」と「地球温暖化を防止すること」です。
また、不法投棄や破裂事故を防止するためでもあります。
消火器のリサイクルシステム
消火器の処分は、自治体のごみ回収では回収してもらえません。
代わりに、消火器販売店やメーカーが回収を担っています。
消火器販売店は消火器を回収する特定窓口です。
しかし、消火器販売店に持ち込めない人は消火器の処分に困ります。
そこで、できたのが廃消火器リサイクルシステムです。
リサイクルシステムにより、全国の指定引き取り場所で、消火器の引き取りが可能となりました。
指定引き取り場所になっているのは、メーカーの営業所です。
消火器を引き取る窓口
「消火器の販売代理店」や「防災・防犯事業者」が担う「特定窓口」は、全国に約5000ヵ所あります。
また、「指定引き取り場所」は、「消火器メーカー営業所」や「廃棄物処理業者」が担当しており、全国に約200ヵ所設置されています。
消火器の処分費用はいくらかかる?
消火器を処分する費用は、処分方法により異なります。
(2010年以降に製造された消火器については下記参照)
一番安い方法は、「消火器リサイクル推進センター」から直接「家庭のお客様向けの小型用リサイクルシール(1枚600円)」を購入し、自分で「指定引取場所」まで持ち込む方法です。
ただし、「ホームページから購入する場合」はリサイクルシール1枚600円にプラスして、別途「送料と代引手数料」がかかるため、それなりの費用になりますので注意してください。
リサイクルシールは「消火器リサイクル推進センターのホームページ」以外でも「特定窓口」または「指定引取場所」にて購入することが出来るみたいですが、ウェブサイトには『リサイクルシールはオープン価格ですので、料金はそれぞれの窓口にお問い合わせください』『リサイクルシールの金額は窓口ごとに設定しております。お手数ですが、窓口へお問い合わせください。また、収集運搬・保管費用についても同様となります。』と書かれています。
「特定窓口」に引き取りを依頼した場合は運搬費、持ち込んだ場合でも保管費として別途費用がかかるみたいです。廃消火器リサイクルシステムに基づき処分する費用の目安は1本1000円~3500円程度だと思われます。
参考サイト
2010年以降に製造された消火器
2010年以降に製造された消火器には、「新品用リサイクルシール」が貼られています。
新品用リサイクルシールが貼り付けされた消火器は、処分する際に処理費用が請求されることはありません。
ただし、引き取りによる処分では運搬費、指定引き取り場所への持ち込みでは、保管費等がかかる場合があります。
消火器の種類について
消火器には、住宅用と業務用があります。
住宅用の消火器は、てんぷら油火災などを想定し、住居で起こりそうな火災に適した消火器とし開発されたものです。
それぞれの適性を確認してみましょう。
住宅用消火器
住宅用の消火器は、誰でも簡単に操作できる「蓄圧式消火器」です。
蓄圧式消火器は、消火器本体にガスを蓄圧し、レバーを操作することで消火剤を一気に放出することができます。
ご自宅の消火器をご覧ください。
ご存じない方も多いのですが、住宅用の消火器には、どんな火災に適応する消火器なのか絵で表示されています。
普通火災・てんぷら油火災・ストーブ火災・電気火災など、一目でわかるように表示されているはずです。
また、住宅用の消火器に色の規制はありません。
赤だけではなく、白や緑・ピンクなど様々な色があります。
最近では、一見消火器とわからないようなオシャレなデザインも増えてきました。
コンパクトで、力の弱い女性や高齢者でも操作ができるようになってきています。
日本消火器工業会のページ
https://www.jfema.or.jp/about/list
業務用消火器
業務用の消火器は、私たちがよく目にする赤い消火器です。
消火器の設置義務がある事業所・建物・車両・船舶に置きます。
住宅用消火器より、威力が強く消火能力に優れている消火器です。
業務用消火器は、半年に1回の点検を実施する義務があります。
3年以内の加圧式消火器、5年以内の蓄圧式消火器に限り、自己点検が可能です。
期間を超えると有資格者による点検が必要になります。
点検できない場合は、新しく買い替えなければなりません。
業務用消火器に記載されている火災の種類は、以下のようなABC表示が一般的です。
- A(普通火災)・・・木材・紙・繊維の火災
- B(油火災)・・・石油や油類の火災
- C(電気火災)・・・電気設備ショートなどの火災
業務用消火器は、住宅に設置して使用することも可能です。
しかし、住居用の消火器を、消火器の設置義務がある建物に設置することはできません。
また、業務用消火器の容器の色は、25%以上赤色にしなければならない規制もあります。
消火器の耐用年数は?
住宅用の消火器の耐用年数は、3年~5年と言われています。
業務用消火器は、8年~10年で半年に1度の点検が必要です。
業務用消火器の中の薬剤は詰め替えできます。
処分したほうがいい消火器とは?
火災は頻繁に起こるものではありません。
しかし、起きたときに活躍するのが消火器でしょう。
消火器が以下のような状態になっていれば、買い替えと処分が必要です。
一人一人が防災意識を高め、万が一の火災に備えましょう。
こんな消火器は処分しよう
- 本体のサビ・破損
- 変形している
- 使用上に問題のある傷
- 劣化や腐食が激しいもの
- レバーやハンドルが破損している
- ホースが外れた消火器
上記のような消火器は、消火器の破裂で負傷する可能性があります。
特に、腐食した業務用消火器は、操作時に一気に破裂することがあるのです。
住居用の消火器も、劣化や腐食で強度が低下します。
古い消火器は早めに処分しましょう。
消化器はリサイクルが義務付けられているんですね。
そうです。耐用年数がすぎたものは正しく処分し、常に使用できる状態にしましょう。
消火器の処分方法は?
この項では、消火器の処分方法について詳しく解説していきます。
リサイクル窓口をご存じですか?
項目1でも少し触れましたが、消火器には、リサイクル窓口が設けられています。
その名も、消火器リサイクル推進センターです。
消火器リサイクル推進センターとは?
消火器リサイクル推進センターは、2009年に設立された消火器のリサイクル・回収を円滑に行うための株式会社です。
リサイクルを推進することが目的で総務省消防庁の支援を受け設立されました。
事業内容は、消火器の処分に必要なリサイクルシールの発行・販売と支払いなど、消火器のリサイクルに伴う一切の業務を担っています。
消火器処分のルール
国内メーカーが製造した消火器は、廃消火器リサイクルシステム の処分ルールに基づき廃棄する必要があります。
ただし、「エアゾール式消火器」と「外国製消火器」は対象外です。
消火器の処分は、「リサイクルシールの貼り付け」・「指定引き取り場所での回収・引き取り」が義務付けられています。
消火器の処分方法3つ
廃消火器リサイクルシステムに基づく処分方法は3つあります。
特定窓口へ引き取りしてもらう
全国に約5000箇所ある消火器の特定窓口に引き取りを依頼する方法です。
窓口によっては引き取り不可の場合もあるため注意してください。
リサイクルシールが貼られていない消火器は、シール代(オープン価格)と引き取りにかかる運搬費が別途必要です。
指定引き取り場所へ持ち込む
全国に約200箇所あると言われている「指定引き取り場所」に直接持ち込む方法です。
「消火器メーカー営業所」や「廃棄物処理業者」が担って管理している引き取り場所になっています。
リサイクルシールが貼られている消火器は、そのまま持ち込めば追加料金なく引き取り可能みたいです。
リサイクルシールの貼り付けがない場合はシール(オープン価格)を購入しなければなりません。
指定引き取り場所の1つとなっている西濃運輸では、リサイクルシールを販売していないため、注意してください。
持ち込みですから運搬費用はかかりません。
場所によっては、保管費がかかることがあります。
ゆうパックで回収依頼する
特定窓口や指定引き取り場所を利用できない場合は、消火器を「ゆうパックで送る方法」があります。ゆうパックを利用する際には、「消火器リサイクル推進センター のゆうパック専用窓口」へ電話をし、事前申し込みが必要です。
依頼をすると、消火器発送用の箱が自宅に届きます。
専用箱を使い消火器を梱包・発送してください。
ゆうパックで送付する方法は、「手数料と運送費も含め、6,270円(税込)」(2022年現在)がかかります。
消防署ができること
消防署では、廃消火器の処分や引き取りを行っていません。
地域によっては地元の消防団が、古い消火器を回収してくれることもあるようです。
詳しくは、市役所や消防署へ問い合わせてみましょう。
消火器の買い替えでは・・・
新しく消火器を買い替えるときに限り、販売店が古い消火器を引き取りするサービスもあります。
ただし、消火器の処分だけを希望する場合は利用できません。
また、購入した消火器の数と同数が引き取り対象です。
処分したい消火器は3つで、1本だけ新しく購入した場合、3本のうち1本しか引き取りしてもらえません。
処分する方法はいくつかあるんですね。郵送できるのは少し意外でした。
ご自身の状況にあわせて最適な方法で処分するとよいでしょう。